そして、改めてその作品を見返してみたんですが……。
「これは、自分の中でもかなりの傑作なんじゃないか」
そんなふうに思いました。
もちろん、自分で作った作品ですから、どの作品にもそれぞれ思い入れはあります。
でも、この作品には、今までの作品とは少し違うものを感じるんですよね。
何というか、自分がこれから作っていく作品の、一つの起点になっているような感じがするんです。
作品自体は、決して複雑なものではありません。
一人の女性が少し横を向いて、何かを考えているような表情をしている。
背景も、ほとんど何もありません。
女性はショートヘアで、赤い着物を着ています。
全体的に、とてもシンプルです。
それなのに、なぜか印象に残る。
派手な演出があるわけでもないし、背景を細かく描き込んでいるわけでもない。
それでも、何となく頭の中に残り続けるんです。
自分でも、この作品は以前からかなり気に入っていました。
そして今回、作品が売れたことをきっかけに、改めてじっくり見てみると、
「もしかすると、この作品には、自分がこれまで作ってきたものが集約されているのかもしれない」
そんなことを思いました。
これまで自分はいろいろな作品を作ってきました。
いろいろな表現を試して、色や構図を変えて、背景を作り込んだり、装飾を加えたりしてきました。
でも、最終的に自分が惹かれているのは、もしかすると、そういう「足していく表現」ではなく、必要なものだけを残して、シンプルにすることなのかもしれません。
女性の表情。
髪型。
着物。
色。
そして、何もない背景。
それだけでも、作品として成立する。
むしろ、余計なものがないからこそ、見る人の中に何かが残る。
この作品を見ていると、そんなことを感じます。
そして、この作品がこれからの自分の作品の方向性を、少し示しているような気もしています。
もちろん、これから何を作っていくのかは、まだ分かりません。
また違う方向に進むかもしれません。
でも、今回この作品を改めて見たことで、
「自分は、こういう作品を作りたかったのかもしれない」
という感覚が、少しだけ見えてきたような気がします。
先日売れたことで、この作品は自分の手元から離れていきました。
でも、手元から離れたからこそ、逆に少し距離を置いて見ることができた。
そして今になって、この作品が自分にとってどんな意味を持っていたのか、少し分かってきたような気がします。
もしかすると、この作品は一つの「完成」ではなく、これからの作品の始まりだったのかもしれません。
自分のこれまでの作品の集大成でありながら、同時に、これから先の方向性を示している。
そんな不思議な位置にある作品なのかもしれません。