これまで、自分が恋愛について語ることはほとんどなかった。というのも、誰かと付き合った経験があるわけでもなく、ただ一方的に誰かを好きになっていただけだからだ。
今振り返ると、それは「恋愛」というよりも、ただの勝手な片思いだったのかもしれない。だからこそ、自分には語れるような恋愛観などないのだと思う。
その後も誰かと付き合うこともなく、結婚することもなく、どこか「不完全な人生」を歩いてきたような感覚がある。
女性に対する憧れはある。けれど、どう接していいのかは今でもよくわからない。
ただ一つ、不思議なことがあった。主に学生時代、なぜか自分に好意を持ってくれていた女性がいたことだ。でもその頃の自分は、別の女性に夢中だった。
もしあのとき、自分を好いてくれていた人と向き合っていたら、違う人生になっていたのかもしれない。もしかしたら、幸せな関係を築けていた可能性だってある。
とはいえ、それはすべて「後の祭り」だ。今さらどうこう言っても仕方がない。
振り返れば、その片思いは自分の人生に大きな影響を与えたと思う。あの状態に陥っていなければ、もっと「普通」の人生――恋愛をして、結婚して――そんな道を歩んでいたかもしれない。
片思いも、ある程度を超えると人の人生を歪めてしまうことがある。今だからそう思えるけれど、当時はそんなふうには考えもしなかった。
そして、その想いから目が覚めたとき、自分の中は空っぽになっていた。何のために生きているのかもわからなくなり、自分の存在すら無意味に感じた。
そこからが、いわば「第二の人生」なのかもしれない。
ただ、正直に言えば、あまり面白い人生だとは思えなかった。
人は何かに夢中になっているときのほうが、案外楽しく生きられるのかもしれない。それがなくなったとき、日常は急に色を失ってしまう。
とはいえ、すべては結果論だ。だから、今はただ「そういうものだった」と受け入れるしかないのだと思う。